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楽器のイラスト

Story

物語

「きみのギターには心がない」七沢奈那(24)は東京でバンドデビューを目指したが叶わず深く傷ついて故郷の福井に戻ってきた。

実家の蕎麦屋。ぶっきらぼうで口下手な父 倫太郎(56)とはぎくしゃくしたままだ。母 敬子(享年43)は応援してくれていたが父は奈那が音楽をすることにずっと反対だった。「ここでバイトしなさい」父のメモにあったのは「……アデリラ?」そのときハーモニカの音が聞こえてくる。少し悲しげで……なぜか奈那の心に響く。そこは障がいのある人たちが暮らす施設だった。

「無理……」職員の紀田洋平(37)との面談途中で逃げ出し、突然飛び出してきた人とぶつかる。ハーモニカを握りしめて倒れていたのは赤星貴人(18)だった。起き上がらせるとニコッとして「たんけん行こ!」「?」

幼馴染でバンド仲間だった二ノ宮周(25)の部屋。周は病気で重度の弱視になっていた。「連絡くらいしろよ。俺は目が見えなくなったんだよ」「私は…将来が見えなくなった」

音を怖がる周を奈那はなんとか外に連れ出す。
バンドを辞めた理由を聞きたがる周に「うっさ
いなぁ」その腕を振り払う。転倒する周……

石段

「視覚障がいのある人をつきとばして白杖を投げつけた」全くの誤解だったが、弁護士からはなぜか3カ月のボランティア活動を言い渡される。

そこはまた!?アデリラだった。反対する紀田を軽く制して園長の小松原希子(59)は「七沢さん、音楽好き?ちょうどよかった。音楽クラブどぉ?」園長の独特のペースにはまり、思わず「はい」と言ってしまう奈那。

入所してくる飯塚紗良(23)との面談に立ち会う。人見知りなのか紗良はひとことも話さない。奈那はしかし紗良が微かに唇を動かしているのに気づく。「……歌ってる?」

家

アデリラ音楽室。篤史(29)牛ちゃん(33)雪乃(19)きっしゃん(44)真里子さん(38)みんなてんでバラバラに太鼓を叩いたり、叫んだり……ただのカオスに疲れ果てる奈那。

奈那「私には、無理です。介助も音楽も」園長「自分の声ばかり聞かないで、もう少し耳を澄ませてみたら?」通りかかった貴人にお茶を淹れてもらい「ここが家だもんね」「みんなと共に生きて、共に学んで、共に成長する……ここはそういう家なの」紗良の部屋から歌が聞こえてきた。綺麗な澄んだ声だった。

お茶

親子面談の日。一度も面会に訪れたことがない貴人の母親はきょうも来ていない。貴人はペットボトルの水をかけて食べ物を洗いだす。貴人はいつもそうしないと食べないという。


アデリラ調理場。奈那と貴人はとサンドイッチを作っている。貴人にはここにあるすべてが楽器でリズムとビートに聞こえるらしい。食器を叩きながら踊り出す……

噴水
メンバーの楽器

サンドイッチを夢中で頬張る貴人。「洗わなくて大丈夫?」「ん。いっしょにつくったからゴミない」以前、食べ物にゴミを入れられるイジメにあったことを初めて知る。

 

貴人と紗良が加わった音楽クラブ。すべてがまるで合わない。奈那は心が折れそうになり諦めかける。でもメンバーたちはどうやら諦めていないみたいだ。なんだか楽しそうにリズムを刻んでいる。「もう少し耳を澄ませてみたら?」園長の声が甦る。徐々にリズムが合ってきて、奈那の指導にも熱が入ってゆく。

ある日の課外活動。少しずつ築いてきた貴人との信頼関係を壊してしまう事件が起きる。自分の部屋に閉じ籠ったままの貴人。ドアごしに奈那は自分の話を始める。「私が弾きたい音ってなんだろう。空っぽの音楽なんて誰にも響かない。だから私は音楽をやめた」「貴人のハーモニカ聴いたとき驚いた。貴人のハーモニカには心がある」ドアを開けて出る貴人。

「それはどこにある?……心、ハーモニカの心」奈那、貴人の胸に手を当て「ここに」「ぼくの心、お母さんのところに送れる?」「送ろう」

そして晴れの舞台、クリスマス音楽会の日がやってきたが……

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